12/12/2011

モンタギュー町、反原発運動の町、歴史をひも解く


「モンタギューだより」と題してこのジャーナルを書き始めて早、3年。今回はこのモンタギュー町の歴史、1960年代以降、もともと大学が集まって全米でも屈指のリベラルな町について詳しく述べてみましょう。ここモンタギューといえば、この辺では反原発の直接行動をおこした運動家や、カウンターカルチャーの60年代の学生らが「大地に還れ」運動として、学生を終えても都会へ還らず、コミューン運動を始めました。我が家の近くにある「モンタギューファーム」は、いろんな市民運動家が創設しました。女性運動家、人種を隔てた市民啓蒙運動、反原発運動、環境運動の強者男女の若者が共同生活を始めました。さらに1800年代前半のアメリカ産業革命の面影を残す工場跡地ターナーズフォールは、もともとインディアンが虐殺にあったエリアでもあり、1900年代はじめのキリスト教異端児たちが自分たちのスピリチュアル信仰を謳歌した町プレザントレークも混在する町として、地元ニューイングランド地方を始め、全米アメリカ人なら大抵は聞いたことのある名前として知られています。

先日、ガンジー翁の「サチャグラハ」(訳注:真理を探究する)雑誌「サルボダヤ」にこのモンタギューの町と隣の町アマーストの歴史について拙文を掲載しました。まずはそれを転載することにします。

アマーストは自由な気風の大学町として、ベトナム反戦運動に始まる60年代の学生運動や、80年代後半の女性学の起こり、90年からのイラク反戦運動など市民運動が、全米の中でも活発な地域です。近辺には名門大学からリベラル大学まで5大学が集まっています。 アマースト大の他に、アート系のリベラルなハンプシャー大学、アメリカを代表する女流詩人エミリー・ディキンソンも通った最古の女子大マウント・ホリヨーク大学、そして数々の大統領夫人を卒業生にもつ女子大スミス大が集まっており、同性愛者が堂々と町で腕を組んであるいても、何の違和感もない開放的な町として、市民運動や学生運動が昔から盛んなのも頷けます。



この町の中心にあるアマースト大は、全米でもトップクラスの名門大学で200年以上の歴史を誇っています。また日本との関係も古く、1870年代初め宣教師フルベッキと大隈重信が提言した岩倉使節団から、近代農業育成に力を貸してほしいと乞われ、当時のアマースト大で新島襄を物心両面で支援したシーリー学長の友人で、アマースト大卒のウィリアム・クラークが推薦されました。クラークは当時アマースト大学に近い農学校スターブジッジの学長もしており、1876年には札幌農学校で教えることになります。彼が学長をしていた農学校が現マサチューセッツ州立大に発展し、マサチューセッツ州と北海道の姉妹州のシンボルになりました。さらにアマースト大の歴史教授によれば、アマースト大シーリー学長は日本の婦女子の健全な育成に有用な運動を紹介してほしいと相談され、この地で編み出されたピアノに合わせた体操が、現在のラジオ体操に発展して行きます。

アマースト大ではそれより以前、会津藩江戸詰めの新島襄氏が、当時御法度だった米国留学を試み、開港間もない函館港からロシアの牧師、そしてマサチューセッツ州出身の船長やハーディー船主の助力を得、密航してやがてアマースト大で学び1870年に卒業します。この新島を大学で援助したのがシーリー学長でした。内村鑑三も1881年に札幌農学校卒業後、数年の北海道開拓のための水産研究を続けた後、シーリー学長の援助を受け、1887年にアマースト大を卒業します。内村や新島は類い稀なシーリー学長の徳育を回顧し、それぞれ教育、信仰の信念を深めて行きます。そして近代日本のキリスト教の3つの流れの内の二つ、ウィリアムクラークに影響をうけた「札幌バンド」、新島の創設した日本初のキリスト教思想の大学同志社にくみいれられた「熊本バンド」に発展して行きます。

さらにアマーストの町の北隣にモンタギューという町があります。産業革命で出来た工場街ターナーズフォ—ル地区も町の一部です。そこに19世紀からの運河があり、1970年には電力補給のためアメリカでも最大級の原子力発電所設置計画が持ち上がります。ここで全米初の反原発直接行動に出た人がいました。サム・ラヴジョイ(当時は有機農家、現弁護士)といって、1974年2月ジョージワシントンの誕生日に、象徴的に原発建設反対を唱え、この計画を進めていた電力会社の気象観察塔500フィートの鉄塔を危害を加え打倒し、その後原発の環境に与える悪影響を2ページの小論文にまとめ、それとともに警察に自首します。連日全米各紙にトップで裁判の状況が報じられた9日間の裁判では、著名な歴史家ハワード・ジンらも証人台にたち、結果無罪となり、この判決をうけて1975年−1980年の間に63基の原発計画が破談になりました。

こうした自由と権利、そして自然との共生を模索して来た歴史をもつモンタギューに住み、アマーストで仕事をして来ました。また次回にはここ、マサチューセッツ全体に歴史をひろげ、現代の米国に与えた影響、さらにおとなりロードアイランド州と日本との関係も綴っていきます。1800年代前半に活躍したコンコードでのソロー、エマーソンたちの奴隷廃止論アボリショニストからアメリカ近代思想を築きあげたトランセデンタリストたちの動き、さらにその数10キロ北にある工場町ローウェルの女工の基本的人権を得るストライキ労働争議運動、そして百年さかのぼって1700年代のアメリカ・インディアンとイギリスからの植民地の人々との土地にまつわる歴史を語って行きたいと考えています。ご感想をお寄せください。


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