アメリカの公共投資II  地方自治編

今日は朝から田舎道を車で走る。

田舎の村々をいくつも通ると、道路状況でその町の市制の違いを漠然と目にする。

先ず、このモンタギューは農業・酪農をやっている農民、通勤/通学住民区域、近くの大学街の事務業に通う住民区域がある。50年代からの様々な共同体、そしてインデイアンの漁場だった滝タナーズフオールの区域に運河が流れカナダから流れてくるコネチカット川を塞き止め、今は閉鎖された工場が広がっている。築100年以上の煉瓦作りのアパートが並び、現在低収入住居となっている。(なんとフォードが昔から鉄鋼産業の工場と運河がある、この近くの川沿いに初期の自動車工場を戦前つくろうとしたが、結局、反対にあい元地域にしたという逸話がある。それでもこの町が好きだからと、フォード自動車工場のある町は、ここらあたりの名前にちなんでGreenfield とつけたそうだ。反原発の映画が最初につくられたコミュニティーもモンタギューにある)ここは固定資産税も安いが、税収入が無いから町の財政は破綻しており 道路はひどいお粗末。除雪には全然やって来ない。

http://maps.google.com/maps?f=q&source=s_q&hl=en&geocode=&ie=UTF8&layer=xt&g=montague,+MA&ll=42.50754,-72.321625&spn=0.433296,1.060181&t=h&z=10

一方、となりのレベレットは近くの大学で教えている教授陣が多く、いわゆるリベラルな町。固定資産税も高い。村の公立小学校に税金を積込んでも構わないという人も多いから、小学校の施設も先生のレベルもかなりいい。また道路も町の境から、きれいに除雪されている。山の上でも、州立道路でも、どこもしっかり目が行き届いている。警察のパトカーの台数も、常駐の警察官の数も人口の割にやたらと多い。

そこを通り抜けて湖のあるウェンデルは、村の大半が州立公園なので歳入の住民税が入って来ないので、結構田舎の割に土地税が高いが、この町こそ何を隠そう70年代にはヒッピーが大挙をなして住んでいた。その名残でそんな彼らが家族をつくって、トレーラーハウスや手作りの家や、工夫を凝らした家に住んでいる。いまでも毎月満月には「フルムーンカフェ」が町役場で主催される。いきなり森のまっただ中に、いきなり70年代に迷い込んだような気分になる。しかし道路は、全く整備されて居らずとても危険。冬中除雪しなかった道路なんてのもある。もうそんなことにはお金をかける気なしって感じで、ダウンヒルで曲がりくねった道路ばかりで、個人個人が気をつけろって言うことらしい。
でも、いざという時は村の住民間には団結力があるようで、先日もアメリカではめずらしく建て前のような集まりがあって、村人みんなで助け合って新しい家の棟を上げていた。

さらに離れて、もう少し人口の密度の高いホリヨークだと、お年寄りとプエルトリコの人口が多い。昼間の就労時間に選挙が行われるため、低賃金の仕事しか無い彼らには選挙にいく余裕がない。選挙に行かれる年寄りは、教育より福祉を優先しろと、市民投票をかけると、教育費に全くお金がまわらない。昔から学校が退廃していると評判だ。

結局、各町村の住民たちは、自分さえ良ければ自分の税金が直接、自らに降り掛かる暮らしを良くしてくれればよいと、目先ばかりにこだわった民主主義の究極の有様になった。将来を見据え、自分だけじゃなく、自分の子どもだけでもなく、全ての人が幸せに暮らせるようになるには、一人一人がこうした意識を持たねばならないだろう。自分だけがよくてもどこかで行き詰まっていく姿が、この近辺の町の姿に見た。

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