親権ニュース、子育ての違い? それとも男女の役割の違い?ー日米比較文化シリーズ

つい最近、全米で話題になった日本との関連ニュースだが、日本からのニュースなのに日本の新聞には取り上げられていないようだ。あるのはアメリカ発の和訳ばかり

そのニュースとは:テネシー州に住んでたアメリカ人夫と日本人妻が離婚し、日本人妻が共同親権のある夫に知らせず、日本に子供をつれて帰った。そのことで彼女にアメリカで逮捕状がで、元、夫が日本へ連れ戻しにいくとそこで日本警察に逮捕され、現在日本に拘留されている。Newsweekのブログでいわれているように、【ついに逮捕者が出た】といった感がする。まずは文末のCNN日本ニュース とNewsweek の冷泉氏のブログ参照。
http://newsweekjapan.jp/reizei/2009/09/post-59.php

これは私の周囲も見ても、多くの類似例があり、法律の違いだけではすまされない、

親権custodyの取り方が日米で違い
日米それぞれに家族の形態や父親、母親に社会がきたいする役割の違いから来るのではと考える。

親権つまりcustodyとは、扶養問題のみならず、アメリカでは一般に子供に会わせる会わせない問題になっている。学校でも子どもたちの普通の会話として、今日は何曜日だからお父さんの家に行くよ」といった会話が聞こえ、友達の家に遊びに行くときはどちらの親かしっかり聞いておかないといけない。学校からの連絡はよく別々にきちんと送付され、生徒名簿も別記載だ。夫婦別姓が当たり前の社会だから、離婚していなくても姓が二つ以上ある子が殆どだ。結婚式も花嫁、花婿の親がそれぞれ離婚再婚して、それぞれが花嫁花婿を育て上げた合計4組で共に祝うこともありうるだろう。

離婚した際、親権問題は重要事項で、離婚の際には必ず裁判所に出廷し、(日本のテレビにあるように離婚届の紙1枚に捺印では済まない)二人の間に子供がいた場合は、何日間か裁判所による子育ての上の協議と勧告を離婚した二人が、それぞれうけなくてはいけないそうだ。そして結婚を地元に宣言したように、離婚も地元行政区域の新聞にて宣言することもあるようだ。
ここで気をつけなくてはならないのは restraining order なるものが離婚騒動、またその後に発効されることもあることだ。日本語には一言で翻訳片付けられる語がなかなか見つからない。つまり半径何m以内に近づくなという命令書で、これに違反すると逮捕ということになる。この命令書がだされると子供に会うことも、見ることもできなくなる。
たとえば、こういったケースもいく例か見聞した。
日本人妻とアメリカ人夫が離婚のすったもんだを続けていた。二人の間の子と連れ子も絡んで当然、親権問題が浮上してきた。アメリカ人夫は妻には子供を扶養する能力がないと裁判所に申し立て、英語がよく分からない日本人妻は鬱気味だったので、医師にかかるように夫に勧められ、その診察書を裁判所に子育て能力が欠けている証拠として提出され、自己弁護する術を知らずにこのrestraining orderが発効されてしまった。こどもに会わずに日本へ帰った。

別の日本人妻とアメリカ人夫のケースでは、子供が成人するまで共同親権があるから、自分は日本へ引っ越ししたくても帰れない、帰ったら親権を放棄したことになる。またそれによって、育児放棄とも裁判所ではとられる可能性もあるし、親権をその後主張できなくなる。よって彼女は子供に会いたいからその街を離れられない。

さらに日本の親権について意見を求められたケース、
日本人夫とアメリカ人妻が日本から甥っ子をある事情で養子にしようとした。かれらは養親としてソーシャルワーカーにも弁護士にも認められ全ての書類を整え、いざ移民局へ提出するとき、【日本での親権】がひかかった。つまり甥っ子は母親一人に育てられ、事実上の父親は赤ん坊のときに蒸発していない。しかしこの期におよんで彼が親権を主張して来ない証拠はどこにあるかと、米国の司法が疑問を投げかけてきたらしい。そこで友人は「日本では親権は、どうやって放棄されるかとという問い合わせだった。

結局、日本では、基本的に子育ては母親に有利に出来ている。逆にいえば、父親には不利にはたらくようだ。
しかしこれが日米の夫婦には
つまり日本では、男はパンを買うために外で働いていればそれでよし、とする社会規範があるようだ。父親の親権が取りざたされたケースを私は聞いたことが少ない。

たとえば、母親が父親から逃げるように子供を連れて行っても、それほど社会的におとがめがない。しかし子供をおいて母親のみが子どもをおいていなくなった場合、父親がいなくなった場合より数段、社会は許さない。さらに詳しく次回で親権の違いがどうして、文化の違いを、家族形態、男女の役割分担にまで論を広げて考えてみたい。




国際離婚、子供の連れ去りが問題に 福岡で米国人の父逮捕

東京(CNN) 2人の子供を連れて帰国した日本人の元妻を追って来日し、子供を取り戻そうとした米国人男性が、未成年誘拐の容疑で福岡県警に逮捕される事件が起きた。
福岡県警によると、逮捕されたクリストファー・サボア容疑者は28日朝、徒歩で学校に向かっていた元妻と2人の子供に車で近付き、子供たちを無理やり車に乗せて連れ去った。その後子供たちのパスポートを取得しようと福岡の米国領事館に向かったが、元妻の通報で駆けつけた警察官に逮捕された。

CNNや系列局のWTVFによると、サボア容疑者と元妻は米テネシー州フランクリンに住んでいたが離婚し、元妻はフランクリンで子供の近くに住むという合意があった。しかし夏休みの間に元妻が子供を連れて日本に帰国。8月の登校日になっても子供が登校しなかったため、サボア容疑者が日本に電話したところ、元妻の父親から「子供たちはここにいるから心配ない」と言われたと同容疑者は話している。

WTVFによれば、テネシー州の裁判所は子供が連れ去られたと認定してサボア容疑者の親権を認め、フランクリン警察は元妻の逮捕状を取って行方を追っていたという。

日本は国際間の子供連れ去り問題を解決するため1980年に定められたハーグ国際協定に署名しておらず、親権問題は民法に基づき、子供の利益を最優先にして解決されている。
米国務省は、たとえ米国の親が親権を持っていても、米国から日本に連れて来られた子供を米国に戻すよう日本の裁判所が命じた例は聞いたことがないとしている。

こうした問題の解決に向けて国内で今年発足した国際団体によれば、親権を持たない日本人の親が子供を連れ去った事例は、分かっているだけで100件以上あるという。
在日米国大使館は29日、「日本は米国の大切なパートナーであり友人だが、離婚と子供の養育に関する認識には違いがある。親が子供を連れ去ることは、日本では犯罪とみなされない」と説明した。
親による子供連れ去りの問題は日米政府間の公式協議でも取り上げられたが、サボア容疑者が今度どうなるかは不明。領事館は28日と29日に同容疑者に面会し、弁護士を紹介するなどの支援に当たっているという。

NewsweekJapan 発 コラム・ブログより

世界中で国際結婚が増加する中、国際間の結婚が不幸にも破綻した場合に、親権を決め、親権のない方の親の面会権を保障し、養育費の支払いに強制力を働かせなくてはなりません。その場合に、子供の人権を守るために国境を越えて関係国が協力して、離婚調停の結果を履行させるために「ハーグ条約」というものがあり、多くの国がこれを批准しています。

 ところが日本はこの条約を批准していません。理由は明白で、日本の民法では両親が離婚した際に、(1)子供が双方の親を行き来する共同親権制度がない、(2)親権のない方の親の面会権が保障されていない、(3)養育費の支払いについて「差し押さえ」などの法的な強制力がない、という制度となっており、ハーグ条約の前提を全く満たしていないからです。これに加えて(4)子供は余程のことがない限り母親が育てるという慣習が強い、(5)親権のない親が再婚した場合は「それぞれの人生」になったとして子供との面会を「自粛」あるいは「忌避」する慣習がある、といった社会慣行上の障害もあります。

 今回逮捕されたのはテネシー州の男性、クリストファー・サボイエ氏です。サボイエ氏は日本人の女性と結婚して子供を2人もうけていましたが、残念ながら離婚に至っています。離婚の調停はテネシーで行われ、その結果として子供たちの母親は、テネシーに居住して子供は父親との面会を続けること、母親は夏休みだけ子供を日本に連れて帰ることが可能であること、などを取り決めていました。

 ところがサボイエ氏は(恐らく弁護士が入れ知恵したのでしょう)多くの場合「離婚した日本人親が子供を日本に連れ帰って戻ってこない」ケースがあり、今回もその危険があるということで、裁判所に「夏休みの日本への帰国を停止する命令」を出すように申し立てをしています。この申し立ては一旦は認められて命令が発効したものの、母親サイドが異議を申し立てたために撤回されています。そこまでは母親サイドもアメリカの法律のシステムに乗って行動していました。

 ですが「このままでは子供に日本の地を踏ませることができなくなるかもしれない」という危機感に駆られたのか、母親は子供の父親サイドには知らせぬまま、そのまま子供を連れて日本に帰国してしまったのです。テネシーでは大騒動になり、直ちに裁判所は母親の「親権剥奪」を宣告するとともに「誘拐罪」の逮捕状を発行しました。ところが、いくら親権剥奪とか誘拐罪として逮捕といっても所詮はアメリカの法律であり、日本の領土では効力がありません。また似たような「裁判所の命令に反して、または、そもそも裁判も省略して」子供を日本に連れ帰っている母親の例も多く、ほとんどが解決に至っていないことから、サボイエ氏は日本に乗り込んだのでした。
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