家族という形態, 日本、アメリカ、夫婦別のバスポート、それぞれのケース

先週、日本で起きた異文化カップルのある事件を紹介した。

その顛末はお粗末なもので、
結局、アメリカ人夫と言われていた父親は日本国籍を取得し、なおかつ日本で離婚すると
父親には不利だと分かっていて、アメリカにて離婚訴訟を起こしたことがわかった。
それまでアメリカ大使館は、日米の外交問題の懸案にしようとまでしたとか、
しかし日本国籍どうしということで、手を引いたとか。

日本のマスコミは前回の投稿に述べた通り、夫婦の中の痴話げんか程度にしか、考えてなかったようだ。

この事件には尾ひれがついた。再婚相手の現妻がアメリカの3大ネットワーク局NBCで、
日本の慣習では、離婚した父親は面会権を得にくく、離婚し再婚したら、元妻との子供はたとえ自分の子供でも会えないし、法律でもそれを保証していないとアメリカのマスメディアが声を大にして訴えていた。『なんと、父親に不利な、子供を無視した慣習だと』しかも、アメリカ市民である子どもたちを元妻がアメリカから日本へ強引に略奪したと報道される。だから略奪仕返したら現夫は日本警察に収監されたと、現アメリカ人妻がブラウン管で訴えた。
それには、全米のテレビとブログが過剰に反応し、
如何に日本が子供の権利を守るハーグ国際条約に批准するべきかと
非難の声が高まった。

ちょうどそんなおり、日本人夫をもつアメリカの友人から以下のブログを紹介された。http://inthefield.blogs.cnn.com/2009/09/30/family-mans-plight-not-news-in-japan/
彼女曰く「夫が悪い、アメリカの法律を盾に母親の母性を全く無視した行動だ。アメリカ人だって彼の独断行動を非難している」と。マスコミのドラマ仕立てにのせられず事件の内容を自分で考えて、自分の意見を述べていた。

また別のアメリカ人女性で医師の友人は、「この国の法律はどこかおかしい。スープをレストランでこぼしたら、訴訟がおこる国なんだ。いつのまにこんな法治国家になってしまったのか、なんでも法律でがんじがらめにしている。家族のあり方も、自分の健康のことも、個人がおのれの暮らしに責任をもてず、法律や規則が型にはめてる」

この事件の場合、元夫が一方的に悪いわけではないかもしれない、また元妻を悪者に当初していたアメリカのマスコミにも疑問を感じる。しかしどんな情報でも、それが全てだと思い込んでしまうと、危険だろう。

何度もこのブログに書き続けているが、どんな情報もかならず情報の送り手の意思が背景にあることを忘れないでいたい。こうしたブログもしかり、如何にも中立であるがごとくかかれた投稿でも、明らかに悪意や敵意を持って書かれていることも往々にしてある。

そうこうしていると、ふと日本のドラマ『非婚家族』を目にした。
http://videonavi.blog66.fc2.com/blog-entry-1832.html
アメリカでは決して珍しい形ではない、家族ファミリーの概念が違うのではとも思ってしまう.

また「家族という形態」を法律でどこまで 縛る/守るか国によってもちがうだろう。
一ついえるのは、共棲がイコール家族という考えが、日米どちらでも変わってきているようだ。

よく「国籍が違うもの同士が結婚をすると、大変でしょう?」
と聞かれる。私は「それは、北海道と沖縄のもの同士も、東京同士でも同じですよ。生まれ育った環境がちがうんだから。でも結婚という形をとらないと、それぞれの国の移民法が絡まってくるので、紙によって互いに制約し一緒には住むことは避けて通れないでしょう」と応じる。 一緒に住む(昔は日本では同棲といっていたが:あめりかではcommon lawとよぶ。州によっては籍を入れていなくても、夫婦と(同性でもここマサチューセッツやとなりのバーモント州では)認められ、税金や生命保険や各書類が夫婦同然に扱われることが家族という単位であれば、何も父親母親という役割を互いに、自分に押し付ける必要がなくなってくる。

養育は誰がしようと、子供が育つという考え方が、かなり浸透している。父親でも、母親でも、祖父でも、祖母でも、またはコミュニティー全体でも、といろいろ子供を育てる人間関係の単位を家族の最小単位のようにいわれることにもなるようだ。

60ー70年代に台頭したフェミニズム(男と同等に女も社会で活躍すべきだし、能力にも差がないはず)も衰え、80年代にはウィメンニズム(女性の性が如何に素晴らしく尊重するに値するものかを説く)がでてきた。親が子供に友達のように接することに、『親の権威をどうなった』と嘆いていた人々もグンと減少した。

ここモンタギューはアメリカでも古い60ー70年代に流行った実験的、新しい家族形態『コミューン』なるものが生まれた土地だ。最近でこそ、そのコミューンも解体して「ニューエイジの禅センター」になったり、「Coハウジング共同住宅:同じ敷地内に家を2所帯で1棟が何棟もありコモンセンター、共同台所があって、集会所にもなる自治経営、土地はイギリスで生み出された環境団体NPO:Land Trust として認可されているので無税だが、個人に所有権はない」になったりしているが、そうした新しい家族が模索したり、いや家族で何かを生みン出す家内工業へ戻ろうとする20ー50代がいる。その一方でレズビアンやホモセクシュアルの人口密度が高いので,同性愛カップルが普通に結婚し,養子を迎え、または精子バンクや相手の兄弟から精子をもらい子を産んだ例も少なくない。今その子たちが学齢や思春期を迎えている。いろいろな家族形態が60年代のカウンターカルチャーの世代から模索されてきた。

そしてそこで誕生した子どもたちが今、大人になり新しい世代を築こうとしている。これら様相を変えてきた家族を、子供から大人になって、父親、母親という区別なしに生まれた子供は、大人をどうとらえているのだろう。これからもアメリカでは、まだまだ〈家族〉を模索して行きそうだ。




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コメント

  1. 初めてお便りします。フィリピンボランティアネットの斉藤拳一と申します。
    すばらしい活動していらっしゃることをHPで知りました。
    協賛していただける状況などあれば大変嬉しいです。
    図鑑、絵本、などをフィリピン貧民区の子供達に寄付頂けないでしょうか。
    私達の活動と趣旨を是非ご覧ください。(ご寄付頂いた場合は当方サイトで
    報告掲載させていただきます。)
    http://happy.ap.teacup.com/kids2009/

    フィリピン国マンダルヨン市アディションヒルズblk35#69

    phone :09162744741 mail: happykids1960@mail.goo.ne.jp

    送り先
    KENICHI SAITO
    #69 BLK.35 WELFERVILLE CMPD
    ADDITIONHILLS MANDALUYONG CITY
    PHILIPPINES 1550

    返信削除
  2. 今日は私のブログへコメントを頂きまして有難う御座いました。
    ところで、この記事、「親権ニュース、子育ての違い? それとも男女の役割の違い?ー日米比較文化シリーズ 」の要約を私のブログへ掲載してよろしいでしょうか?
    日米結婚のケースが多い時代ですすので、大変重要な情報と思います。
    よろしくお願い致します。
    敬具、藤山杜人

    返信削除
  3. モンタギュー2010/01/12 8:56:00

    大歓迎です。また相互リンクもよろしくお願いします。

    返信削除
  4. すみません、、、、
    勝手にこちらの記事紹介させてもらいました。
    不都合があれば、削除しますので教えてくださいね!!

    こっちは寒かったり暖かかったりややこしい冬です。
    そっちは何だか荒れてるようですね。
    よくニュースで見かけます。と言っても、アメリカ広いですよね。
    あ、そちらのABCの新しい夜のニュースのおばさんの顔がいつもぼやけている気がするんですけど気のせいでしょうか。若く見せる為にシワ消したいのかなあとか思ってしまったのですが、そっちではそういう話上がってません?

    返信削除

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